夏合宿のジンクス

 ■ 第6話

子供たちがいっぱいのガラス瓶を持って

へんくつのところにやってきた

「仲直りの印ってわけか?」

毛むくじゃらの顔でめいっぱいの笑顔
みんなは友達になった


そしていたずらっ子たちはガラスをつみだす

上へ上へ

そしてへんくつは何をつくっていたのか語りだす…


「何をつくってたんですか?」
一本吸いおえて『灰皿』に吸殻を落とすタイミングを待って彼女はたずねて来た

そのまま次のタバコを咥えて

「えっとね…。」

わざと間を持たせて

「吸いすぎじゃないですか?」

彼女は脇に置いたタバコの箱を指差しながら違う質問してきた

「そう?」

絶え間なく吸ってるわけではないが
確かにペースは速いかもしれない

「だいぶ慣れてきたってことなのかなぁ」

いって火をつける

「あぁ、最近吸い出してきたって言ってましたもんね」

「そ、でもまぁあっというまにヘビースモーカーの仲間入り」

おどけて笑ってみせる

「それで、何をつくってたんですか?」

急に話を戻して、強い口調で問いてくる

それがおかしくて
今度は本当に笑って

「あぁごめんごめん。へんくつが作ろうとしてたのはね」

それでもわざとタバコを使って間を開けて

「ふぅ。風車なんだよ、ガラス瓶でできた虹色の風車」

「ふうしゃ…?」

あまりピンとこないのだろう

「そう風車。瓶をつんで塔にして羽をつけて…」

「なるほど…。風車かぁ。」

「羽には砕いたガラス瓶をはって…。」

「それが風を受けてまわる…」

それを想像しているのだろう
夜の暗い中で彼女の瞳が輝いて見えるのは気のせいなのだろうか…


タバコはまた減り、あと5本
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